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新築プレミアは人気

草野 裕樹
草野 裕樹

 7月度を振り返ると賃貸よりも売買の需要が高く、その層としては200万円から500万円という価格帯で賃貸投資向けというものが目立った。札幌の投資向けマンションは九州の博多と対を張るように人気があり、その需要も鰻登りである。札幌は部屋の占有面積や敷地面積の大きさに比較すると価格も安価であり、人口も約190万人ということもあり比較的賃貸の展望を立てやすいというメリットがある。最近では銀行の利子を期待するより不動産を購入し利殖に走る首都圏の主婦の姿も珍しくはない。
 
 一方、賃貸は本州企業を主とする資本の流入により供給過剰になりつつある。新築物件は鉄筋系、木造系を問わず新築プレミアは人気があり満室が期待できる。設備も充実しており、シャンプードレッサーや対面キッチン、大型クローゼットが標準装備でペットが飼えるというのが今流行の宣伝文句であろうか。実際ペットと同居できるマンションやアパートの需要も年々増加しており以前は禁止されていたものがいつの間にか路線変更しペット可能物件になっていることも珍しくはない。資本を投じ、マンションやアパートを購入したまでは良いがそのペットの件や購入後直ぐに空室が発生し募集してもなかなか賃貸が決まらないなど相談を受けることもある。よく話を聞いてみると賃貸をつけるため業者に宣伝広告費を2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月と出し、それでも決まらないときは賃貸をつけてくれた担当者にまで御礼をして、という異常な世界が構築されつつある。このような場合、物件に問題があるのではなく場所に問題があることが多い。

 札幌は地下鉄やバス、市電などの公共交通機関が発達し非常に便利な都市である。その反面、地下鉄駅などの利便性の良い場所や都心部は粗方建物が建築されており残された遊休土地は非常に少ない。また、建築されているものはビルやマンションといった具合に大型のものが多く、それらを廃して新たに参入をしていくのは困難である。このような状況下で新築などの不動産投資を検討した場合はその好条件に次ぐ様な立地を探した上で資本を投じていくのが定石だが、その「準ずる場所」と言うのもほとんど残されておらず結局は地の利のあまり良くない場所に建築されたものの中から少しでもよさそうな物件を選定すると言う流れになっていると思う。新築は未入居という意味合いが非常に大きく建築当初はほぼ満室が期待される。その賃料も通常より高めであることが多く、その時点での利回り計算による数字を見て購入に踏み切った方も多いと聞く。しかし、そこに盲点は潜んでいるのである。新築未入居というのは一度入居させてしまえば次回募集は「築浅物件」という既存物件の中でのカテゴリーでの競合になる。だが、場所の利に劣る場合、築浅というキーワードは通用せずよほど家賃を下げたり何らかの梃入れを行わない限り空室リスクは高まりを見せ、最終的には全体的な賃料ダウンによる収益下落と設備改修や近隣との家賃競合により当初の予定利回りを大きく下回る投資結果になることもある。特に先述のペットを飼育できるマンションにおいては年月が経てば経つほど臭いやペットの体毛などきちんと処理しないと通常の賃貸が難しくなる傾向も孕んでいる。多くの業者はそのような危険性を売買時に話をすることはなく、投資家が身を持って体験しないと分からないリスクがそこには大きく口を開けて待っているのである。

 投資はあくまで投資であり自己責任が付きまとう。その中で後悔するような投資をしないためにも場所と周辺環境、今後の賃貸展望など多くの情報を不動産業者から得て、その上で熟考し判断すべきである。

 今、目の前にある「美味しそうな餌」より、1年後、2年後、強いては五年十年後まで「果実」をつけるモノに出会ってほしい不動産業に携わる一営業マンとして思う。

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